日本語教育の現場から

外国人との運命的な出会い
入管法が改正されて、留学生、技能実習生に加え、特定技能という外国人の在留資格が増設され、より多くの外国人の皆さんが入国され日本語の授業を通して接する中、我々自身も多くの異文化経験をさせていただいております。
たくさんの国の中から日本を選んで、様々な形の在留資格で入国して来られる彼ら一人一人と出会うことは、奇跡といっていいほど、「運命的な出会い」と言うに等しいと思います。
去年まで、日本からとても遠い国に住んでいた彼らと今こうして同じ時間を一緒に過ごすという不思議な感覚は入国時の度に感じます。親や兄弟、恋人のもとを離れ、希望を胸に抱き、真ん丸とした瞳、輝かしい表情を見ると日本語教師として初心に戻る時でもあります。
この子達が一日も早く日本語で伝える力を身に付けてほしい。
早く日本で即戦力となってほしいという気持ちです。
言葉、習慣、文化も違うこの日本を訪れ、ゼロからスタートする彼らは、なんとも言えないエネルギッシュな姿がとても眩しすぎるくらいです。
日本語を学ぶ技能実習生の様子

ここで、母国で3か月~半年間、日本語を学んで入国する技能実習生の様子に少し触れたいと思います。
彼らは主に、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、タイ、インドネシア(順不同)の様々な東南アジアの国々から入国してきます。
年齢は18歳から35歳までの方がほとんどです。
不思議と共通している点が幾つかあります。
まず、人柄はとても素直で人懐っこい方が多く、性格は日本人以上に向上心があり努力家、中でも非常に驚いたことは家族愛が深い。
家族とのつながりをとても大切にしているところです。
彼らの20代男性と日本人同世代の男性と比較すると想像以上に家族間の距離が近く深い愛情で家族とつながっていることにびっくりします。
いつも手にしているスマートフォンには愛する母の写真を大事にもっている姿には、毎回感動させられます。
入国直後の彼らは、個人差はありますが挨拶や簡単な言葉を使って積極的に話してきます。
ある時、
「こんにちは先生、お元気ですか? 」
「はい私も元気です。」
「先生、今日はきれいですね。」
と話しかけてきました。
私は
「今日は?」
「今日だけ・・・?」
「昨日はきれいじゃありませんでしたか?」
と苦笑いしながら私は彼らに聞きました。
彼らは、
いいえ「いつもきれいです。」
あ!
彼らは何か気づいたようです。
苦笑いしながら
「先生すみません。間違えました。」
「今日もきれいですね。」
と慌てて訂正をしてくれました。
このように、助詞の使い方を自分自身で学ぶことができ、間違えを恐れないで、何度つまずいても自力で立ち上がる力を持っているところが非常に素晴らしい。
彼らといると、あらゆる出来事をポジティブに置き換えることができ、分からないことは放置せず、積極的に質問してきます。そのように彼らと接していると、きっと実習先や就業先でも持ち前の明るさとユーモアでこれからの日本社会に貢献して行くに違いないと思うのです。
今後の日本に欠かせない外国人労働者
今後、日本国内は、少子高齢社会に伴う労働者不足になり、そのことを解消するのに欠かせないのが外国人労働者です。
せっかく日本を選んで入国して来てくれた彼らは日本の一番のファンです。
ですから我々日本人は、日本を選んでくれた外国人の方々を全力でサポートする必要があると感じます。
外国人だからという理由で教育や情報から取り残されてしまう人たちがいます。
外国人、一人一人の人権が守られる社会をつくるための行政支援や日本語教育機関が上手に関わって、誰もが暮らしやすい社会を考えていかなければならないと思います。
多くの外国人が日本でもっと幸せを掴んでほしい。単身、短期の労働ではなく家族とともに日本で暮らしてもらいたい。
企業には多様な担い手である外国人労働者が安心して長期的に就労することができる環境づくりをして頂いて専門性・技術を持つ即戦力となる人材を育てほしいのです。
そうすることが、「良い企業」として社会的にも評価を得ることができ、すべての労働者、そして社会がともに発展していくことにつながると思います。外国人と日本人がともに豊かに暮らしていけるよう、私たち日本語教師も微力ながら、そのお手伝いができればと日々奮闘しております。

この記事を書いた人
著者:plusJ
日本語講師 川村 真須美