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特定技能外国人関連改正情報(労働社会保険関係)

 特定技能の在留資格制度が始まり1年半が経過したところですが、2020年に入り、少しずつ増加しています。新型コロナウイルスの影響はいろいろ受けているものの、今年4月から特定技能試験が短期滞在者でも受験できるようになるなど、特定技能外国人として日本で働きたい外国の方にとっては、そのチャンスが広まっています。

 今年4月に特定技能外国人に関する手続関係の改正が何点かございました。そちらにつきまして、労働・社会保険関係に関する改正についてご説明します。

 特に他の在留資格(「留学」、「技術・人文知識・国際業務」など)をお持ちの方で、特定技能の在留資格に変更したい方が注意するべき点を、また特定技能外国人を採用したい企業様について採用する上での留意点等を解説したいと思います。

日本に在留する他の在留資格を有する外国人で、特定技能1号に変更を希望する方

1 国民年金に加入している場合、保険料を納付または、免除、納付猶予を受けていること。

 20歳以上の中長期滞在者の方で社会保険に加入していない場合は、国民年金に加入し、保険料を納付することが義務付けられていますが、以下の制度を利用することにより、保険料の免除、納付猶予を受けることが出来る場合があります。

➀ 保険料免除制度

本人・世帯主・配偶者の所得が一定以下の方や失業した場合など保険料を納付することが困難な状況の場合、申請し承認されることにより、前年度の所得に応じて、全額免除または、4分の1免除、半額免除、4分の3免除が認められます。ただし、学生の方は保険料免除制度を利用することができず、②で説明する学生納付特例制度を申請することになります。

② 学生納付特例

大学、短期大学はもちろん、修業期間が1年以上の各種学校(私立の場合は都道県知事から認可を受けた学校に限定)に在籍する場合、本人の所得が一定以下の場合に申請し、承認されることにより、保険料の納付が猶予されます(免除ではない)。

③ 保険料納付猶予制度

20歳から50歳未満の方で、本人・配偶者の前年所得が一定額以下の場合は、申請し、承認されることにより、保険料の納付が猶予されます(免除ではない)。

 ①②③いずれの場合も10年以内に保険料を納付することにより、将来の年金額に反映させることができます。

将来の年金額について、について免除期間について保険料を納付した場合に比べて約半額となり、②③の保険料納付猶予期間については将来の年金額に反映されないものの、年金を受給するために必要な期間(老齢基礎年金:10年、遺族基礎年金25年、障害基礎年金:20歳から初診日の属する月の前々月までの期間において3分の2以上納付・免除・猶予または、初診日の属する月の前々月以前の1年の期間において納付・免除・猶予)に算入することが出来ます。こちらが未納と大きな違いです。また、一部免除を受けている場合、免除されていない保険料が未納の場合も未納となるため要注意です。

 未納の場合は、放置せずに早めに最寄りの年金事務所または、住民票のある市町村の国民年金担当窓口での相談や申請を行ってください。

国民年金保険料免除・納付猶予について

https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html (日本年金機構)

2 国民健康保険に加入している場合、国民健康保険税(料)を納付または、減免措置を受けていること。

 年齢に関係なく、社会保険に加入(被扶養者として保険証の発行を受けている場合を含む)していない場合、市町村の国民健康保険に加入することになります。その保険税(料)を滞納することなく納付している必要がございますが、経済的な理由により納付が困難な場合は、条件により保険料の減免措置を受けまたは、分割払いをすることができる場合がございますので、住民票のある市町村国民健康保険担当窓口にご相談ください。

 業績不振等により勤務していた会社を解雇されたなどの非自発的離職の場合も減免措置を受けることができます。

 また、社会保険に加入している場合は、手続きをすることにより、退職後も引き続き健康保険を利用することもできます(健康保険任意継続)。その場合は退職後20日以内に手続きをする必要があり、保険料も全額自己負担(給与明細の健康保険の控除額の2倍が原則)となります。

 さらに市町村国民健康保険担当窓口にて保険税(料)の試算ができますので、その上で、どちらかを選択することができます。

3 納税義務を果たしていること(税金の滞納がないこと)

日本に在留する他の在留資格を有する外国人で、特定技能1号に変更を希望する方を採用する企業

1 採用予定者(特定技能外国人)が、国民年金保険料及び国民健康保険税(料)、税金を納付または免除・支払猶予・減免措置を受けていることを確認すること。

2 既に特定技能外国人を採用している企業で、更新手続きの際以下の書類が添付書類として必要となります。

  1. ① 雇用保険被保険者資格取得確認通知書(事業主控え)の写し(最初の更新の時)
  2. ② 直近1年分の労働保険料領収証書の写しなど労働保険料を納付したことがわかるもの
  3. ③ ②に対応する労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書の写し
  4. ④ 申請日が属する月の前々月までの24か月分の社会保険料(健康保険・厚生年金保険料)の領収証書の写しまたは、社会保険料納入状況照会回答票

3 新たに採用する場合は、就業規則等に従って賃金を適切に設定すること。

4 毎月の報酬の支払状況として,口座振込であれば口座振込明細書を「特定技能外国人の受入れに要した費用の額及び内訳」に係る添付資料として,特定技能外国人の活

動状況に関する帳簿に綴るなど適切に保管・管理していること。

5 特定技能外国人を雇用する企業が、特定技能外国人に関することに限らず,行政機関から指導があった場合(労働基準監督署からの是正勧告など)等は,所定の届出書だけではなく、理由書(任意書式)や疎明資料を添付して提出すること。

6 特定技能外国人に係る特別徴収した税を納付していない場合は,当該特定技能外国人の身分事項及び特別徴収した税を納付していない理由について,理由書(任意様式)を所定の届出書とともに提出すること。また,普通徴収で特定技能外国人が税を納付していないことを確認した場合は,今後の納付予定について理由書(任意書式)を添付すること。

7 雇用する特定技能外国人の労働安全衛生法の規定に違反する行為があったとして労働基準監督官から是正勧告を受けた場合は,その都度,出入国又は労働関係法令に関する不正行為を行った場合の届出を行わなければなりませんが,所定の定期報告における届出書にも届出期間の状況を記載すること。

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